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2007年 05月 11日
小学校の『日本語』の教科書に続いて、長女の中学校の教科書を開いてみました。 「中学の教科書はちゃんとしてるねえ〜」と小平。 古典などに加え、とにかく選りすぐりの素晴らしいお話が載っています。 (選者に拍手!) いくつかのお話のなかでとても感動したのが カメラマン・星野道夫さんの書かれた『アラスカとの出合い』というお話。 気に入って、早速本を買い求めました。 __________________ 昔、電車から夕暮れの町をぼんやり眺めているとき、 開けはなたれた家の窓から、夕食の時間なのか、ふっと家族の団欒が 目に入ることがあった。 そんなとき、窓の明かりが過ぎ去ってゆくまで見つめたものだった。 そして胸が締め付けられるような思いがこみ上げてくるのである。 あれはいったい何だったのだろう。 見知らぬ人々が、ぼくの知らない人生を送っている不思議さだったのかもしれない。 同じ時代を生きながら、その人々と決して出会えない悲しさだったのかもしれない。 (文春文庫/星野道夫「旅をする木」アラスカとの出合い より) __________________ その昔、フランスからの帰りの飛行機。 インドだか中国だかすら定かではないけれど、どこまでも広がる緑の大地に 小さな小さな一本の道。 この道に降り立つことは一生ないんだと思うと、 胸が締め付けられるようだったことをふと思い出しました。 私にとってはフランスの街よりも強烈な印象だった景色でした。 先日、長女が言っていた言葉。 「学校の帰り、暗くなってきた頃に、通りすがりの家から カレーの香りがしてくるとなんか泣きたくなって、早くうちに帰りたくなるよ。 あと、窓から黄色っぽい灯りがもれているとかね〜。」 ああ、すごくよくわかるわ〜と思っていたのだけど、 PARTYの坂根さん、お隣の弥生さんとご飯を食べている時にその話をしたら 「それはとても繊細な心の持ち主だわ」。 そ、そうですか?? 世の中のほとんどの人が、夕方のカレーの香りや、窓からこぼれる灯りには 泣きたくなるもんだとばっかり思っていました(笑)。 あなたはいかがですか? ちょっと脱線しました。 子どもの頃に見た一枚の写真に憧れてアラスカに移住するようになった星野道夫さんは、 仕事で、ある老人と出会います。 その老人が、昔大事にしていた写真、人生を変えた一枚の写真を撮った まさにその人なんだと知る場面。 不思議な人生の巡り合わせ。 この文章を書いた数年後に、星野さんはクマに襲われて亡くなっているのですが アラスカとの出会いを、きっと後悔などしていないでしょうね。 __________________ 人生はからくりに満ちている。 日々の暮らしの中で、無数の人々とすれ違いながら、私たちは出会うことがない。 その根源的な悲しみは、言いかえれば、 人と人とが出会う限りない不思議さに通じている。 (文春文庫/星野道夫「旅をする木」アラスカとの出合い より) __________________ 教科書を読みながら涙しているヤツもあんまりいないかもなー。 他には、最近、こんな感じ。 アラスカ、モロッコ、インドと海外のお話ばかり読んでいたので 今、なぜかムショーに海外に行きたいです。(←飛行機ぎらいのくせに!) FrogsのHPに戻る
by frogscafe8
| 2007-05-11 07:05
| cafeの無駄話
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